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第36話 ◇明日を生き抜く

Author: 設樂理沙
last update Last Updated: 2025-04-14 08:39:59

36.

 確かに夫にアプローチされ真摯な態度でプロポーズされた時

君だけを一生かけて愛します、とは言ってもらってはなかった

けれど、好きだよこれからずっと仲良くしていこうねって

言われて、これからずっと私と一生仲良しで添い遂げてくれる

ものと思ったことは間違ってないよね。

 『Would you marry me? 』『Sure!』

だって、普通は結婚するってそういうものでしょ?

 結婚して仲良くしていこうね、だけど他の女性とも仲良くする

けど……って正直に本心を言ってくれてたら、絶対夫と結婚

しなかった。

 夫の兼ねてからの浮気の仕方を見ていると絶対確信犯だからね。

 たまたまとかいうような、なまやさしいものじゃない。

 私は

付き合っていた頃から……

プロポーズされた時も……

結婚式を挙げた時も……

子供が出来た時からも……

ずーっと、嘘つきな夫に騙されてたのだ。

 私はまだ子供たちが小さかった頃から、夫の以前からの確信犯的浮気に

思いを馳せる度、この考えが頭の中でループし始めると、呼吸が苦しくなるほど

精神状態がおかしくなるのだった。

 だけど、その時の自分にはどうすることもできなくて

そのうち、頭も胸も苦しくなって……そんな夜を幾つ経験したろうか。

 自宅を出て夫から離れ心機一転新天地で前向きに暮らしていても

このような過去に受けたトラウマやそれに伴う様々な感情の

ループから逃れられない。

 どうすればこの負のループから抜け出せるのだろう。

 いつも負のループに嵌る度、私はその場所に呆然と立ち尽くす

自分に気付く。

 そして思うのだ。

 何とか私は今日という日まで生き長らえてきたのだけれど

よくもここまで生きてこれたなぁ~と。

 そして又、来ていない明日のことを考え、生きていけるだろうか?

と不安になる。

 他の人たちはどんなことを想いどんな気持ちでまだ来ぬ明日のことに

思いを馳せるのだろうか。

 それとも、まだ来てもいない明日のことなど、そこまで大真面目に

考えて生きてはいないのだろうか。

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    62.遡って仁科貴司が初めて葵の様子を見に畑を訪れた日のこと。 男の自分が見ても水も滴るいい男。 醸し出すオーラからして違っている葵の夫が少し離れた 所に居る。 葵の夫仁科が来た時、たまたま道具と水を取りに行ってた 自分は、2人からはかなりの距離があった。  ふたりの遣り取りの雰囲気から、その場にはいない存在に なるよう努めた。  視界の端でその男を見た瞬間、知らぬ間に昔の思い出の中に ワープしていた。  その場面は子供が幼かった日の運動会で西島の今は亡き妻もいた。 仁科貴司が息子たちを伴って妻である葵と歩く姿を目にすると 余所の奥さんたちは色めきだった。  その様子を見ながら西島の妻は、私はあなたが一番と言ってくれた。 そう言われてうれしかったことを思い出した。  だがあの時、自分は冷静に考えた。 しかし、そんなふうに言ってくれる妻だってどちらに対しても 初対面で、自分かあの男かを選べと言われたなら、きっとあの男を 選ぶだろうと。  それが当然と思えるほどに、仁科は魅力的できれいな男だ。  それでもだ、余所の女房連中がキャーキャー騒ぐ中、あなたが 良いと言ってくれた愛しい妻が偲ばれた。   葵さんも独特の雰囲気を持つ、キュートな女性だ。一切毒のない女性で、派手に着飾って美貌をアピールする でなし、夫の横にいても高慢に振舞うでもなく、しとやかで 清楚な雰囲気を纏い、素敵に見えた。 あの少し毒さえあるような男には、派手で彫りの深い顔に 厚化粧をしているような美人が似合いそうなせいか、皆 奥さん連中は血迷い、 もしかしたら、あのきれいな男の横にいたのは私だったかも しれないと、勘違いしていたのだろう。  そんな雰囲気が彼女たちの言葉や態度から見てとれた。 その様子におかしいやら、あきれるやらしていたのを ふと思い出した。             ◇ ◇ ◇ ◇  昔の思い出に浸っていたらいつの間にか、葵と貴司の姿が 見えなくなっていた。  仁科貴司はやはり今夜、葵の暮らす家に泊まって いくのだろうかと思った。  昨日は葵からお好み焼きの差し入れがあった。  自分の好きな豚肉がたくさん入っていた。 たくさん持って来てくれていたので、今日はみそ汁を付けて 食べるとするか。 手作りのお

  • 『願わくば……』   第61話 ◇お似合いのふたり

    61.  2人の関係は、真っ白と報告が上がってきた。  報告書を受け取った貴司は、加藤なる調査員からトドメのひと言を 言われる始末。「あんな素敵な奥さん、私が欲しいぐらいです。 大切になさって下さい。」  普通の人間なら、ここは喜びほっとするところなのだが 元々目的の方向性の違う貴司はガクっときたのだった。  内心では自分もこんな風な結末だろうことは、分かっていたのに。  念のため、録音したという畑でのふたりの会話を聞いた。  葵の声が弾んでいて楽し気だった。 息子たちと話している時の妻の様子に近いモノがあった。 相手に気を許し心を開いている様子を伺い知ることができた。   長年妻が自分に対してどんなに心を閉ざしていたのか 思い知らされる結果になってしまった。  今更、と言われるかもしれないが、いつの間にかこんなにも 妻の気持ちが自分から離れてしまっていたのだと気付いた。  自分は今まで何人の女たちと関わってきたのだろう。  だが、ひとりとして妻ほどに、自分の心を開いた相手はいない。  だが、どうもその妻に対しても俺は言うほど心を開いては いなかったのかもしれない。 きっと妻の方では俺に対して心と心を通わせ合えるような関係を 構築したかったのかもしれないが、俺は自らそれを打ち壊し続けて きたのだろう。  先日の妻の半端ない決意を聞いてしまった以上、焦るものの 妻に家へ帰って来てほしい、また元の家族で暮らそうと もはや言い出せない貴司なのだった。            ********  特に主になって調査を進めていた加藤は、畑での男女を知るにつけ 今時珍しい実直な2人のファンになっていた。  ある夕暮れ時に見たふたりの姿が今も瞼に焼き付いている。  女性の方が猫を2匹連れて来ていた日のこと。  ふたりが水筒に入ったお茶で休憩していたら、それぞれの膝の上で 猫たちが一匹ずつ寝てしまい、ふたりは猫をそれぞれ自分の子供に するようにやさしく撫でる。 むろん、ふたりは無言だ。  そこには2人と2匹のやさしいたゆとう時間が流れていた。  男と女。 猫と仔猫。 しばらくの間、4つの存在は切り取られたアルバムの中の写真の ように異次元に飛んでいった。 それは美しく清らかな一枚の絵となった。 この

  • 『願わくば……』   第60話 ◇まっしろ、白。

    60. 私が他所の女性と付き合うのを止めるようどんなに頼んでも 分かったと言うだけで馬耳東風、止めようとしなかった夫に 絶望し渇いていた私。  ちょうどその頃、2才を少し過ぎた次男の智也が 台所の椅子に座っている私の側に来て私の頬に キスをしてくれるようになった。 『チュッ』  長男はそんなことをしたことがなかったので最初、すごく 吃驚した。 『₹ャァ ウレピー』  チュッとキスをした後、必ず私に言ってくれた言葉がある。 「おかあさん、しゅきっ ♡」  とてもとても幸せなひとときだった。  それは次男が5才か6才になるまで、結構長い間続いた。  夫からは決して得られない幸せの時間。  私だけを映す次男の瞳がとても愛おしかった。       ** 葵がそんな昔の想い出に浸っていた頃 **  葵の夫である仁科貴司からの依頼で興信所が動いていた。  ありもしない葵の浮気を暴こうと、男関係を調べていたのである。  敏腕調査員、加藤は確信する。  白、シロ……まっしろ。  仁科貴司の奥さんには一切おかしな行動はない。 加藤と一緒に動いていた若手のスタッフ沢田と玉木も 揃って妻の葵のことをベタ褒め。 『ホレテマウワ』  夫なり妻なりが何か思うところがあって調査依頼して来ると 大抵の場合は、その何かおかしいと思う予感は当たっていることの 方が多いものだ。 今回のように何もないことは本当に珍しい。沢田+玉木: 「「この依頼者の旦那さん、いい奥さんで裏山(うらやば)しいなぁ~♡」」加藤: 「ちゃんと、羨ましいと言えっ」 別居している妻が心配でしようがないようだ。 奥さんは、畑を間借りしていて持ち主である小児科医、西島と よくその畑で一緒になる。 自分たちはその畑の数箇所で2人の会話が拾えるように高性能の ICレコーダーを畑のあちこちに取り付けていた。  後《のち》に回収してその会話を聞いた。 2人の会話はどこにでも転がっているような内容で、時々聞いている 者をもほっこりさせるような楽しくてユーモア溢れる話が あ

  • 『願わくば……』   第59話 ◇一生の宝

    59.  「賢也、智也、私ね……愛すべき貴方たちふたりの息子を 授かれたことは本当に私にとって最高のプレゼントだって 思ってる。 だから、夫婦としてお父さんとは上手くいかなかったけど 全てが駄目だったってわけでもなかったと思うの。 今が一番大事だからね、一生懸命前向きに生きるわ。 ここに来るには、ちょっと時間が掛かるけれどいつでも来て。  おいしいモノ作って待ってるから」「ぜひそうする。  ほんと、ここは自然に恵まれていていいところだね。  仕事のことがなかったら、俺もこんなところで暮らしたいよ」 と賢也が言った。 『オレも年とったら、畑してみたい。かあさんがここで 根付いてくれてたら、将来こちらに住む拠点も移しやすそっ。そういう意味でも、かあさん、頑張ってくれよんっ』 と今度は弟の智也が続いて言う。 「西島の父ちゃんがその頃になったら隠居生活に入ってる かもしれんし。譲ってもらえんとも限らんから、おまえ 貯金しっかりしとけっ。」『おっしゃぁ~、お金溜めるべぇ~』 久し振りに会った息子たちはコウやミーミと戯れたり畑へも 一緒に行って野菜を収穫したり、自然を満喫して日曜の午後 帰って行った。  帰ってゆくふたりの背中を見つめ、彼らの行く末が幸多かれと 願わずにはいられなかった。  いつもじゃなくって、瞬間々なんだけどね  幼い頃の息子たちとの日々を思いし懐かしむことがある。  そんな中でも私の荒(すさ)んだ気持ちを解きほぐしてくれた 出来事は私の一生の宝だ。

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